疲労骨折とは、骨の同一部分に外力が繰り返し加わることで起こる骨折です。
一度にかかる力は強くなくても、何度も続けて力が加わると、金属疲労のようにその部分がモロくなっていきます。
短期的な集中トレーニングで起こることが多く、軽度では細かいヒビが入り重度では完全断裂します。疲労骨折は早期発見と早期治療が大切で、治療を開始するのが1日遅れると完治にその何倍もかかると言われています。
疲労骨折の症状は、初期段階において軽いことも多いので、ついつい無理をして悪化されることも少なくありません。
しかし、しっかりと対策をすれば悪化を防ぐことができます。
ランニングやジャンプなどのスポーツ活動を行うことにより、骨の同じところにストレスが繰り返しかかって内部に微細な骨折を生じる場合があります。
運動を続けていると、それが修復する前に微細な骨折が生じ、ついには骨全体の骨折に至ることがあり、これを疲労骨折といいます。
下腿の脛骨(けいこつ:内スネの骨)や腓骨(ひこつ:外スネの骨)、足部の中足骨や舟状骨(しゅうじょうこつ:足首の骨)によく起こります。
疲労骨折の現れ方
激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に多く発症します。
明らかな外傷がなく、運動時に局所に著しい痛みを感じる場合は疲労骨折を疑います。
一般の骨折のように、皮下出血や著しい腫脹は伴いませんが、局所は軽度に腫脹を伴い、押さえると痛みを生じます。
中足骨や舟状骨の疲労骨折では足の甲が、脛骨や腓骨の疲労骨折では下腿に痛みが生じます。
疲労骨折は通常の骨折とは異なり、ギプスによる固定を必要としません。疲労骨折の主な治療には、
経過観察
手術
の2つがあります。
経過観察は一見すると、治療には思えないかもしれません。しかし、運動量を少なくした上で経過観察をすることは立派な治療です。つまり、ランニングが原因の疲労骨折を疑えば、ランニングする量を制限することが重要です。そして、経過観察を行えば徐々に症状は軽快し、2~4週程度で症状がほぼ消失します。しかし、中には上記のように症状が消失しない疲労骨折が存在します。そのような疲労骨折を難治性の疲労骨折といいますが、疲労骨折が難治性と診断されると手術が行われることもあります。
ゆっくり休む
まず第一は同じ動作の運動を繰り返し続けないことです。
疲労骨折の症状は、使いすぎで手足が悲鳴をあげているようなものです。運動をしていて普段とは違う感覚があったら勇気を持って休みましょう。筋肉が疲れてきちんと働かないと運動による骨への負担はとても大きくなります。
ただどれだけ休めばよいのかは個人差があり一概には言えません。筋肉と違い骨は鍛えれば鍛えるほど強くなるというわけではないのです。コーチやトレーナと相談をして適切な運動メニューを作り上げるのが大事です。
例えばランナーの場合、心肺機能や代謝を上げるという目的なら走る以外にプールやエアロバイクのような代わりの運動メニューもあります。
骨を丈夫にする
疲労骨折の症状は、骨が健康にも関わらずに起こってしまうものです。筋肉と違って骨は鍛えることが難しいと書きましたが、食事の面で骨を強くしなやかにすることができます。
まずはなんといってもカルシウム、乳製品、小魚、豆製品や小松菜、ひじきなどに多く含まれています。ただカルシウムは吸収性の悪い栄養素です。吸収率の高い乳製品やサプリメントを選んでも良いでしょう。
そしてビタミンDは、カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする働きを持ちます、カルシウムだけ摂取しても骨は丈夫にならないので意識して摂取しましょう。しらす干しや卵黄、きくらげ、しいたけに多く含まれます。また人の皮膚でも生成されますので屋外での運動も大事です。
そのほかにもカルシウムの吸収を促進する栄養素としては、コラーゲン、ビタミンC、クエン酸、マグネシウムなどがあります。一方で、レトルト食品、スナック菓子、清涼飲料水に多く含まれるりんは、取りすぎるとカルシウムの吸収を阻害してしまいます。