腰痛というと一般的には働き盛りの大人、肥満ぎみの人、腰の曲がった高齢者などに多く起こるものと考えられています。
実際その通りなのですが、思春期以降の10代の若者にも腰痛が現れることがあります。
子どもに発症する腰痛は、その原因によって大きく3種類に分けることができます。
筋・筋膜性の腰痛
明らかな原因疾患が認められず、急激に腰痛を生じるものを総称して急性腰痛症といいますが、その中でも一番多くみられるのがこの【筋・筋膜性腰痛】です。
腰の筋肉に起こる肉離れ、もしくは筋肉の過緊張が起こった状態です。
主に腰を支える筋肉や靭帯などの緊張や疲労により痛みを生じるスポーツ障害の1つです。
痛みの出る場所は、背骨を中心として左右両方の時も片方だけの時もあります。
スポーツ中の急激な動作の変換時や長時間の無理な姿勢などでも起きますが、子どもの筋膜性腰痛の原因は、主にスポーツなどによる筋肉疲労、背筋と腹筋のアンバランス、過度に腰を捻る・反るなどの動作によります。
疲労骨折
小学生〜中学生くらいの成長期のお子さんの骨はまだまだ未熟なため、スポーツなどで腰部に過度の負担が継続的にかかることで疲労骨折すると考えられています。
激しい腰のひねりや、前・後屈のあるスポーツ(野球
バレーボール、サッカー、柔道など)をしているお子さんが腰痛を訴える場合には腰椎分離症を疑う必要があります。
腰椎分離症の症状
成長期の腰椎分離症の場合には、スポーツ時に痛むのが一般的です。成人や中高年でも腰椎分離症にかかりますが、この場合には鈍痛がしたり、同じ姿勢でいると痛みが生じたり、同じ動作の繰り返しなどでも痛みを生じさせます。
疲労骨折、腰椎分離症どちらも共通して、腰を後ろへ反らせると痛みが強くなります。
しかし、自覚症状には個人差があり、「スポーツ時に弱い痛みを感じるだけ」や、ときには「症状がない」場合もあります。こうした場合には腰椎分離症そのものに気づかず、病状が悪化することがあります。
背骨の異常
骨や筋肉が成長過程にある子どもの中には、成長するにつれて背骨を構成する骨が変形し、背骨が左右に大きく歪む病気を発症する人がいます。
これを脊椎側湾症といいますが。
発症時期は、乳幼児期、学童期、思春期と様々です。
学童期、思春期の子ども、特に10代の女子や肥満児に多く見られ、成長とともに徐々に進行します。
原因不明のケースが多く、生まれつきの脊椎の異常、脊髄や筋肉の異常、遺伝障害などが原因となる場合もあります。
特徴
・背中を後ろから見た時に、通常は真っ直ぐなはずの背骨がS字状または逆S字状に曲がっている。
・体が歪むため、前屈した時に左右の肩や背中の高さが明らかに違う
病気の初期や症状が軽い場合は、痛みなどの自覚症状がないことが多く、学校の検診や他人からの指摘で背骨の異常に気
づくことが多いです。
症状がある程度進行すると、腰や背中の痛みがでてきます。重症になると、心臓や肺が圧迫されて呼吸困難などの心肺機能の障害が起こることもあります。