コンパートメント症候群とは
上肢・下肢の筋肉、血管、神経などは骨や筋膜、骨間膜に囲まれています。
この構造をコンパートメントまたは筋区画と呼びます。
例えば、下腿には【前部】【外側】【深後部】【浅後部】の4つのコンパートメントが
前腕には【屈筋群】【伸筋群】【橈側伸筋群】の3つのコンパートメントがあります。
何らかの原因でコンパートメント内の圧力が高まると、コンパートメント内の血管が圧迫されて循環障害発生し、筋肉や神経の機能障害が起こり、様々な症状がでます。
これをコンパートメント症候群といいます。
コンパートメント症候群には急性型と慢性型があり、急性型の場合は筋肉や神経の組織が壊死して重大な障害を残すことがあります。
スポーツでは慢性型のコンパートメント症候群がみられることがあります。
急性コンパートメント症候群
急性コンパートメント症候群は通常、大きな外傷の後に起こります。ごく稀に、軽度の外傷の後に発症することもあります。
原因として
・骨折
・腕や脚を押しつぶす外傷
・筋肉の激しい打撲
・ギブスやきつい包帯を巻く
・過度の飲酒や薬物乱用(眠っている間や失神して倒れている間に血管が閉塞して起こる)
などが考えられます。
慢性(労作性)コンパートメント症候群
同じ動作や運動を繰り返すと慢性コンパートメント症候群になることがあります。
これは40歳以下の人に最もよく起こりますが、年齢を問わず起こる可能性があります。
水泳、テニスもしくはランニングなどの運動をする人は慢性コンパートメント症候群を発症するリスクが高くなります。
激しい、または頻繁なトレーニングもリスクが高くなります。
運動とこの疾患の関連性は完全に理解されていませんが、次のことが原因となる可能性があります。
・特定の活動をしている時よ動き方
・筋膜が通常よりも厚い
・筋肉が肥大している
・血管の内圧が高い
コンパートメント症候群の症状
各部位での疼痛、腫脹、圧痛、硬結(しこり)、運動時痛
コンパートメント内にある神経の麻痺による知覚麻痺、他動運動障害、他動運動時痛などを認めます。
①前方コンパートメント障害は最も頻度が高く
疼痛・腫脹・圧痛は下腿前外側にあり、深腓骨神経領域の知覚障害(第1、2趾間)、筋力低下は足関節背屈(前脛骨筋、趾伸筋)にあり、他動的運動時痛は足関節と足趾の底屈時に存在します。
②側方コンパートメントでは圧痛は外側広筋にあり、浅腓骨神経領域(下腿外側)の知覚障害、足関節外返し(長・短腓骨筋)で筋力低下、足関節内返しで他動的運動時痛が出現します。
③浅後方コンパートメントでは圧痛は後方(ふくらはぎ)にあり、腓腹神経領域の知覚障害、足関節の底屈(腓腹筋、ヒラメ筋)筋力低下、他動的足関節の背屈時痛があります。
④深後方コンパートメントでは圧痛は後方(下腿内側)にあり、脛骨神経領域(足底内側)の知覚障害がみられ、足関節の後脛骨筋、足趾伸筋よ筋力低下、足趾の他動的背屈時痛があります。