当院はブログで【坐骨神経痛】についていくつか記事で紹介させていただきましたが
雨の日の気圧の変化によってだけでなく、寒くなってきても坐骨神経痛がでてくる患者さんが多いので、ここでまた詳しく紹介させていただきます
『坐骨神経痛です』と来院される患者さんが多いですが、実はこれは【疾患名】ではなく【症状名です】
坐骨神経とは人の体で最も長い神経で腰からお尻、太ももの裏から足まであります
その坐骨神経が走行しているどこかの部位で神経が圧迫されて起こる痛みやしびれのことです
と、いうことは
坐骨神経痛が起こる原因が
何かしらあるのです
ここではその原因となる疾患の中でも代表的なものをいくつか紹介させていただきます
まずその原因で最も有名なのが
【椎間板ヘルニア】です
背骨は首からお尻までずっとありますが、一本ではなくいくつもの骨と骨が積み木のように積み重なり連なっています
その骨と骨の間にはクッションの役割を果たす【椎間板】があります
ぎっくり腰や悪姿勢での動作の繰り返しなどによって、その椎間板が飛び出して神経に当たってしまうと神経痛や痺れなどの症状がでてしまうのです
ヘルニアとは『飛び出す』という意味なのです
この疑いのある方に行う検査法
[下肢挙上テスト(SLR:straight leg raising)]
仰向けに寝てもらい、膝、股関節を伸ばしたまま足を上げていきます
このときに脚の後面に痛みやシビレがでると下部腰椎のヘルニアの疑いがでてきます
[大腿神経伸展テスト(FNS:femoral nerve stretch)]
うつ伏せで寝てもらい、膝を曲げたまま太ももを持ち上げていきます
このときに太ももの前面に痛みやシビレがでると上部腰椎のヘルニアの疑いがでてきます
[ケンプ徴候]
立った状態で腰を反った状態のまま横に倒します
このとき脚に痛みやシビレがでるとヘルニアの疑いありです
これは神経の出口を狭めて神経根を刺激させ確かめる検査となります
他に【腰椎すべり症】という疾患があります
これを読まれている方の中には病院などで『腰椎分離症です』と診断を受けた方もおられるかもしれません
腰椎分離症とは骨と骨が積み重なって連なっている一部分が疲労骨折などにより離れてしまった状態をいいます
腰椎の後ろには椎弓といってリング状態の構造をしており、その斜め後ろは細く弱くなっています
背中を反らす動作やジャンプからの着地などの動作で力がかかり、それが繰り返され疲労骨折が起こってしまいます
分離症の起こり始めは運動を休止し、コルセットなどで固定をすれば治る見込みがありますが
時間がたってしまうと難しくなってしまいます
その疲労骨折して離れてしまった骨が前に滑り落ちた状態を腰椎すべり症といいます
分離症と知らずに強烈なマッサージを受けたり、体重が増えてお腹が前にでてしまうと、離れた骨に前に進む力が働きます
すると骨が前に移動し、正常な位置でなくなった結果
坐骨神経痛がでてくるのです
【腰部脊柱管狭窄症】という疾患があります
背骨を作る一つ一つの骨には椎孔という穴があります
それが積み重なることによって一つの【管】になり、その管を脊柱管といいます
中には脊髄が通りますが
骨の変形などによって脊柱管の形が変わり、中の脊髄が圧迫されると神経痛や痺れなどの神経の症状がでます
この疾患の特徴は歩いていると脚が痛くなってきますが少し休憩すると治まりますこれを【間欠性跛行】といいます
身体を前屈みにするとこの症状はでないので、自転車はどれだけ漕いでも症状がでてきません
これを【バイシクルサイン】といいます
他にも歩くときに前屈みになって手押し車を使っている人は症状が出ません
これは体を後ろへ反ると脊柱管が狭くなり、前にかがむと広がるからです
こちらもケンプ徴候での脚の痛み、シビレを診ますがMRIなどで検査をされる方がいいでしょう
治療はお任せください
【梨状筋症候群】は
お尻の中の方に梨状筋という筋肉があり、その筋肉は坐骨神経のそばを通っています
疲労などでその筋肉がカチカチになると坐骨神経を圧迫して神経痛などがでてしまいます
仰向けに寝てもらい、症状のある方の脚の膝と股関節を曲げます
そのまま反対の脚の外側へもっていき、お尻のストレッチのように膝を倒していきます
これで脚に痛みやシビレがでると梨状筋症候群の疑いがあります
上記の4つの疾患が坐骨神経痛の原因でも多く診させてもらう機会が多いものです
特徴的にざっくり言うと、ヘルニアは腰を前に倒すのが良くない姿勢で腰椎すべり症と脊柱管狭窄症は後ろに倒しとはいけません
他に、深部腱反射を確認したりもします
脚を組んで膝のお皿の下を叩くと勝手に脚が伸びる遊びをしたことが一度はあるかと思います
これ実は検査でそのまま使うことがあり、【膝蓋腱反射】といいます
神経が圧迫されていると、症状のない方の脚に比べて腱反射での動きが減弱したり、消失したりします
アキレス腱でする【アキレス腱反射】も行います
それぞれ反応の有無で腰のどの高さで神経が圧迫されているのかがわかります
また、神経の圧迫によって特定の筋肉の筋力低下が見られたり、特定の部分の感覚の麻痺も見られることがあります
治療は梨状筋症候群は筋肉が緩めば症状が治まるのでマッサージやストレッチで改善することがほとんどです
ヘルニア・すべり症・狭窄症はマッサージで骨に負担がかかるのは好ましくなく、また、マッサージのみで改善するのは難しい疾患なので、鍼灸治療や整体治療が有効になってきます
鍼灸治療が苦手な方には、当院では鍼に代わる効果のある超音波やお灸に代わるレーザーがあるので、無理なく負担なく治療を受けてもらえます
その際に腰痛・神経痛に有効なツボをいくつも使っていくのですが、家でもできる簡単な神経痛の特効のツボをいくつか紹介します
環跳(かんちょう)
お尻の真横で、骨盤の一番高いところから人差し指・中指・薬指・小指をそろえて2幅分さがったところ
承扶(しょうふ)
お尻の下縁の真ん中にある
殿圧(でんあつ)
お尻の筋肉が盛り上がった部分の中心にある
整体治療もバキバキとする一般的な矯正ではなく、手や足を使って優しく整えていくものなので痛かったりびっくりすることなく受けてもらえると思います
以上が坐骨神経痛のまとめでした
お悩みの方はぜひ一度ご相談ください